DJ Fummyがクラシック部門で世界王者に輝く【DMC World DJ Championships 2025 Tokyo】
2025.11.13
前回、CLUBPORTでも取り上げたが、2025年10月11日・12日の2日間、東京・渋谷で開催された「DMC World DJ Championships 2025」。
世界で最も権威あるDJバトルとして知られるこの大会が、日本で初開催された。
前回の記事はこちら
https://club-port.com/jpn/news/detail/182/
今年で創設40周年を迎えた記念すべき大会「DMC 40 Tokyo」は、2日間にわたって渋谷O-EASTとHarlemを舞台に世界中のトップDJたちが集結。
そして、日本代表のDJ Fummyがクラシック部門(The Classic)で悲願の世界王者に輝き、史上5人目となる日本人チャンピオンの称号を手にした。
DMCの歴史と日本との深いつながり
DMC(Disco Mix Club)は、DJ Tony Princeが1985年に創設した世界初のDJ大会。ヒップホップカルチャーの勃興とともに発展し、Q-Bert、Mix Master Mike、A-Trak、DJ Crazeなど、DJ史に名を残す数々のスーパースターを輩出してきた。
日本でも1990年から国内大会が始まり、2002年にはDJ Kentaroがアジア人初の世界王者となる歴史的快挙を達成。その後もDJ Izoh、DJ Yuto、DJ Renaらが世界の頂点を制しており、日本は今や“DJバトル最強国”の一つとして世界中から注目を浴びている。
また、DMCの舞台裏を支えるテクノロジー面でも日本の存在は大きい。大会で使用されるターンテーブルやDJ機材の多くが、TechnicsやPioneer DJなど日本メーカー製であることから、今回の日本開催はまさに必然とも言える。
世界が注目した激戦のクラシック部門でDJ Fummyが頂点へ
大会初日はバトル部門(Battle for Supremacy)やスクラッチ部門(Scratch)が行われ、世界中の代表がテクニックと創造力をぶつけ合った。
その中でも最も注目を集めたのが、設立当初から続く伝統のクラシック部門(The Classic)。各国の代表10名が6分間のルーティンで構成力・技術力・パフォーマンス力を競い合うこの部門こそ、DMCの真の頂点だ。
日本代表として出場したDJ Fummyは、前半からKanye West「Stronger」を使ったジャグリングで強烈な印象を残し、後半ではスクラッチとボディトリックを織り交ぜた圧巻のパフォーマンスを披露し、ラストを飾ったニュージーランド代表DJ K-Swizzとの一騎打ちは大会のハイライトとなり、観客の熱気も最高潮に達した。
審査の結果、見事チャンピオンに輝いたのはDJ Fummy。
2013年から挑戦を続けてきた彼が、ついに悲願の世界制覇を成し遂げた瞬間、会場中に歓喜の声が響いた。
8年ぶりに誕生した日本人世界王者の誕生は、日本のDJカルチャー史に刻まれる出来事となった。
多様化するDJカルチャーを象徴する新部門「The Open」
2日目は会場を渋谷Harlemに移し、自由度の高い新部門「The Open」が開催された。ターンテーブルだけでなく、CDJ・DJコントローラー・MIDIパッドなどあらゆる機材を使用可能とするこの部門は、より現代的かつクリエイティブなプレイが求められる。
タイ代表DJ Pegg、コートジボワール代表Silver DJもそれぞれのカルチャーを色濃く反映したプレイを披露したが、優勝したのはオーストラリア代表DJ Beastmode。ヒップホップやR&B、ダブステップまで幅広くミックスし、技術と音楽性の両面で観客を魅了し、グローバルなDJ文化の広がりを象徴する大会となった。
世界トップDJが集結!伝説的なショウケースも実現
大会期間中は、歴代チャンピオンによるスペシャルショウケースも多数披露された。
日本勢ではDJ Kentaro × 中村卓也による音楽性豊かなステージ、伝説のチームKireek(DJ Yasa + DJ Hi-C)の復活パフォーマンスなどが大きな話題を呼んだ。また海外勢からはInvisibl Skratch Piklz(Q-Bert、DJ Shortkut、D-Styles)、DJ Craze、DJ Fly、Skratch Bastidら世界的ターンテーブリストが次々と登場し、会場は熱狂に包まれた。
さらに、裏方の功労者を称える「Hall of Fame」授賞式も行われ、dj hondaをはじめ、Technicsエンジニア陣や長年DMCを支えてきたDARTHREIDERらも表彰された。
終わりなき進化を続けるDJカルチャー
40周年という節目に日本で開催され、そして日本人チャンピオンが誕生した「DMC World DJ Championships 2025 Tokyo」。
それは、これまでの歴史を称えるだけでなく、DJ文化がさらなる進化を遂げていくことを示す象徴的な大会となった。
テクノロジーの発展で誰もがDJになれる時代においても、「音を操る究極の職人」=バトルDJたちが守る精神は今も変わらない。
DMCはこれからも世界中のDJたちの頂点として、次の50周年へと歩みを続けていく。
〈DMC World DJ Championships 2025 Final〉結果一覧
■CLASSIC
優勝 : DJ FUMMY(日本代表)
2位 : DJ K-Swizz(ニュージーランド代表)
3位 : The Kid RC3(アメリカ代表)
■BATTLE FOR SUPREMACY
優勝:DJ Raylan(ブラジル代表)
2位:DJ K-Swizz(ニュージーランド代表)
■SCRACH BATTLE
優勝:Aociz(フランス代表)
2位:DJ KEITA(日本代表)
■THE OPEN
優勝:DJ Beastmode(オーストラリア代表)
2位:DJ Pegg(タイ代表)
3位:Silver DJ(コートジボワール代表)


