Z世代の約半数がネット拡散を恐れてダンスを避けている!? 盗撮防止にスマートグラス検知アプリ「ZuckOff」も登場
2026.11.03
クラブやフェスティバルのダンスフロアで、音楽に身を委ねて自由に踊る。その当たり前の楽しみ方が、今、若い世代の間で揺らいでいる。米国のメンタルヘルスケアサービス企業LifeStance Healthが実施した調査によると、Z世代の約半数が、自分の姿を撮影されネット上に拡散されることへの恐怖からダンスを避けているという。スマートグラスによる盗撮問題も浮上するなか、周囲のデバイスを検知するアプリ「ZuckOff」も登場している。
Z世代の49%がネット拡散を恐れてダンスを回避
今回の調査は、LifeStance Healthが米国の成人1,000人を対象に実施したもの。公共の場で自分の姿が撮影され、本人の知らないところでSNSなどに投稿・拡散されることへの不安が、人々の行動にどのような影響を与えているのかを調べた。
その結果、回答者全体の47%が、オンライン上に自分の姿を投稿される可能性によって、公共の場でリラックスしにくくなったと回答。さらに、成人全体の30%が、その不安を理由に踊ることを避けていると答えた。特にZ世代では、ダンスを避ける人の割合が49%にまで上昇。およそ2人に1人が、撮影やネット拡散を気にして自由に踊ることをためらっていることになる。
本来、音楽に合わせて身体を動かし、自分らしく楽しむためのダンスフロアが、他人のカメラやSNSへの投稿を意識せざるを得ない場所になりつつあるようだ。
ナイトライフや友人との交流にも広がる影響
撮影やネット拡散への不安は、ダンスを避けるだけにとどまらない。調査では、回答者全体の19%がバーやナイトライフの場へ行くことを避け、20%が友人との集まりへの参加を控えたと回答している。
Z世代では、72%がネット上で自分の姿が拡散される可能性によって、外出やイベントへの参加意欲が左右されると答えた。
クラブやフェスティバルは、音楽を楽しむだけでなく、友人と交流したり、新しい人々と出会ったりする場所でもある。しかし、意図せず撮影され、その映像がどのように扱われるか分からないという不安が、こうした体験そのものを遠ざける要因になっている。
自己肯定感や睡眠にも影響、Z世代の74%が「今」を楽しめないと回答
さらに、今回の調査では、ネット拡散への恐怖が心身の健康にも影響していることが示された。
Z世代の回答者では、週に一度以上、次のような影響を感じると報告されている。
- 気分の落ち込み:47%
- 自己肯定感の低下:44%
- 睡眠への悪影響:43%
- 不安の増大:42%
また、74%が、こうした恐怖によって「今この瞬間」を楽しむことが妨げられていると回答した。
撮影されることを意識するあまり、目の前の音楽や仲間との時間に集中できなくなる。SNSでの拡散をきっかけとした不安は、単なるプライバシーの問題にとどまらず、日常の楽しみ方や精神的な負担にも関わっている。
スマートグラスによる盗撮問題と検知アプリ「ZuckOff」
こうした問題をさらに複雑にしているのが、Ray-Ban Metaなどに代表されるスマートグラスの普及だ。カメラを搭載したスマートグラスは、通常の眼鏡に近い外観で撮影できるため、周囲の人が録画に気づきにくいという懸念がある。録画を知らせるランプを意図的に無効化し、女性を隠し撮りする悪用事例も問題となっており、ナイトライフ施設などでスマートグラスの使用を禁止すべきだという声も高まっている。
こうした状況を受けて開発されたのが、近くにあるスマートグラスを検知し、盗撮などに悪用される可能性を知らせるiPhoneアプリ「ZuckOff」だ。目視では気づきにくいデバイスの存在を検知することで、利用者が周囲の状況を把握するための手段として注目されている。ただし、検知アプリだけですべての盗撮を防げるわけではない。技術的な対策に加え、施設側のルールづくりや、撮影する側のプライバシーへの配慮も重要になる。
撮影機器だけでは解決できない、他人から評価される不安
LifeStance HealthのセラピストであるNicki Leanzaは、カメラを取り除くだけでは問題の一部しか解決できないと指摘している。
EDM体験の魅力のひとつは、身体を動かし、自由に自分を表現できること。撮影される恐怖がなくなれば、より自由に楽しめるようになる一方で、他人から評価されることへの不安や社交不安は、スマートフォンやカメラがなくなっても残る可能性があるという。
つまり、安心して踊れる環境を取り戻すには、盗撮や無断投稿を防ぐ仕組みだけでなく、誰もが周囲の視線を過度に気にせず、自分らしく過ごせるカルチャーを育てることも欠かせない。
音楽に身を委ね、周囲を気にせず踊ることは、クラブやフェスティバルが持つ大切な魅力のひとつだ。スマートグラスやSNSが身近になった今だからこそ、撮影する自由と、撮影されたくない人のプライバシーをどう両立させるかが問われている。誰もが安心して音楽を楽しみ、自由に身体を動かせるダンスフロアを守るために、ナイトライフ全体で考えていく必要がありそうだ。